研究概要 |
ヌードマウス可移植性ヒト胃癌株を用いて胃癌腹膜播種モデルを作製し,新規に開発されたマトリックス蛋白分解酵素(MMP)阻害剤R-94138を用いてその抗腫瘍効果を他の抗腫瘍薬剤であるDDP,MMCのそれとをin vitro、in vivoで比較検討した.ヌードマウス可移植性ヒト胃癌株(TMK-1)をヌードマウスに腹腔内投与することにより壁測腹膜に1〜3mmの腹膜播種結節が形成された.膜膜播種に対する抗腫瘍効果の検討はこの腹膜播種結節を肉眼的に数え評価した.MMP発現に関してはこの腫瘍結節を細切し遠心分離した上清をgelatin zylnographyを施行し,MMP-2とMMP-9について検討を行ったところ,治療が施行されていない腹膜播種結節においてMMP-2については発現が認められたが,MMP-9については発現がなかったこれはR-94138の治療群の11膜播種結節についても同様であった.ヌードマウスの腹膜播種結節の数はR-94138単独治療群においては無治療群のそれと比較して結節数にして約半数に減少していた(p<0.05).さらにR-94138とMMC,R-94138とDDPの併用療法ではさらに結節数の減少が認められた(p<0.001).いずれの治療群においても治療期間中にヌードマウスの死亡等の副作用の発現は認めなかった.R-94138治療群と無治療群においてヌードマウスの生存期間について検討を行ったところ,有意な差は認められなかったもののR-94138治療群において生存期間の延長の頃向が認められた.しかしながらR-94138を投与し続けている間はヌードマウスの死亡は認められず,R-94138は担癌状態でありつつも生命予後の延長を期待できる薬削である可能性が示唆された.
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