研究概要 |
1. ヒト膵にも応用可能な心臓死ドナーよりの新しい成熟ブタ膵島大量分離の臨床膵ラ島移植の目的であるInsulin independent patientを実現するためには,single donorよりviabilityに富んだ大量の膵ラ島の分離を可能とする,ヒト膵ラ島大量分離法の開発は必須である。しかし,現在ヒト膵の入手が不可能な我が国においては,いつでもヒト膵へ応用可能となる大動物,特に将来の異種移植の可能性も考慮して,ヒト膵ラ島よりも分離がはるかに困難とされる成熟ブタ膵ラ島大量分離法を開発することは,極めて意義深いことである。我々は,従来の成熟ブタ膵ラ島分離法に種々の改良を加え,近い将来来るべきヒト膵ラ島分離にも応用可能な成熟ブタ膵ラ島大量分離法を開発した。 2. 膵島移植における感染対策としての電解酸性水(強酸性水)の有用性 電解酸性水は,水道水に微量の塩化ナトリウムを添加し,陽極と陰極の間に隔膜を介在させ,電気分解してその陽極より得られる電解水である。その特徴は,活性塩素0.05-50ppm,活性酸素10-50ppmを有し,酸化還元電位が高く,そのpHは2.7以下であり,すでにMRSAをはじめ種々の微生物に対する殺菌効果が報告されており,その適応は拡大されつつある。我々は,この電解酸性水を未だ使用されていない細胞移植領域への適応拡大をはかるため,初めに膵ラ島移植における有用性について検討を加えた。 3. 温度応答性ゾル-ゲル相転移型ポリマーの開発 インプラント型Drug delivery system(DDS)の手法を応用して,液状で注射などにより直接体内に注入可能で,人体の体温に応答して固形化し,生体に最少限の侵襲で,しかも効率良く組織を中心に薬物が長期間浸透可能な,新しい温度応答性ゾル-ゲル相転移型ポリマーの開発に成功した
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