研究概要 |
ヒト肝細胞癌患者末梢血より樹状細胞を分離し、ヒトIL-4及びGM-CSFにて7日間培養して成熟樹状細胞を誘導した。成熟樹状細胞の表面マーカーをFACSにて解析した結果、CDla,11b,14,16,80,83,86,HLA-A,B,C,HLA,-DR,ICAM-1の表出を認めた。特にCD1a,14,16,83はその表出に個人差が認められた。成熟樹状細胞をHLA-A2結合性の合成MAGE-3ペプチド(アミノ酸配列:FLWGPRALV)にてハルスし、患者自己リンパ球と混合培養してMAGE-3特異的CTLを誘導した。In vitroでのCytotoxicity assayにてこのCTLはMAGE-3陽性自己肝細胞癌及びMAGE-3陽性HLA-A2陽性非自己肝細胞癌株に対して高い細胞障害活性を示したが、HLA-A2陰性MGAE-3陰性肝細胞癌株に対しては細胞障害活性を示さず、MAGE-3抗原特異的細胞障害活性を示した。12例の肝細胞癌症例におけるMAGE-3mRNAの発現をRT-PCRにて検索した結果、12例中6例にMAGE-3mRNAの発現を認め、肝細胞活におけるMAGE-3mRNAの発現率は50%であった。MAGE-3特異的CTLの誘導にIL-12を併用することにより細胞障害活性の著明な増強が確認された。この細胞障害活性の増強は非特異的な傾向が認められた。以上本研究により合成MAGE-3ペプチド捉示白己樹状細胞を用いてMAGE-3抗原特異的CTLの誘導が可能であり、MAGE-3陽性ヒト肝細胞癌に対する新しい免疫療法と臨床応用への期待が示された。
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