研究概要 |
1 ヒト脳腫瘍において^<11>C-DAおよび標識糖^<18>F-FDG,標識アミノ酸^<18>F-FBPA 標識ガスC^<15>O_2,^<15>O_2,C^<15>Oを用いたPET検査、2 病理学的検索による検討、3 上記の結果の総合的評価を行った。 @HY PET検査で各病態での各トレーサーの取り込みを-、+、++を用いて表記した。-から++までの表記は各トレーサー内での表記であり、縦方向に比較するものである。 放射線障害と腫瘍再発の鑑別は、マルチトレーサーを用いても必ずしも明解でなく、その混在例もかなり存在し、PETの分解能の限界があるため、病変の大きさが問題になる。イノシトールリン脂質代謝の定量と脳腫瘍増殖能(悪性度)の間には相関関係が認められ、悪性脳腫瘍において、DAGの取り込みの上昇が認められた。 さらに、脳血管障害や脳腫瘍の摘出後の脳ではきわめて強いDAGの取り込みが限局した部位に現われることがあった。Spot potentiationという様相であり、病変と反対側の皮質に出現する頻度が高かった。脳血流(CBF)や脳血液量(CBV)などの像には同様な所見は認めなかった。つまり、spot potentiationは血行動態に依存しないものであった。通常、病因に直接起因するものではなく、損傷を受けてからしばらく経てから健常側連合野に出現するため、新たな神経結合を形成する過程を見ている可能性があると考えられる。
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