研究概要 |
ぺプチドホルモンや、血漿蛋白質などの蛋白質は、リボゾームで合成されて小胞体に移動し、ゴルジ装置を経て分泌顆粒となりその成熟を経て最終的には細胞形質膜に運搬され融合により細胞外に分泌される。この調節性分泌(regulatory pathway)では内分泌細胞が生成するホルモンの大半はこの過程を経るなかで翻訳及び各種翻訳後修飾を受け生理的活性を得る。これは細胞内小胞輸送の一つでもあるのだが、一つの膜系から他の膜系に移動し、結合し、融合する、という過程として理解されている。今回は内分泌細胞とその腫瘍における開口分泌機構に焦点をあわせ、下垂体及び下垂体腺腫における産生ホルモンとシナプトタグミン/シンタキシンの機能的相関とその腫瘍化に伴う病態、開口分泌の調節機構の一部明らかにすることを目的とすべく本研究を行った。ヒト正常下垂体剖検症例及び下垂体腺腫組織を対象に、in situ hybridization,免疫組織化学,免疫電顕法を用いて核内レセプター遺伝子発現を検討した。シナプトタグミン/シンタキシンを識別する抗体及びプローブを作成し、免疫組織化学的手法を用いて下垂体組織における蛋白/mRNAの局在を証明した。更に蛋白レベルでは高感度免疫組織化学Catalyzed signal amplification法によりシナプトタグミン/シンタキシン蛋白を検出すると、シナプトタグミン/シンタキシンは全種類の下垂体腺腫に発現していた。 今年度の結果を踏まえ、開口分泌の調節機構にシナプトタグミン/シンタキシンの相互作用が示唆された。
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