研究課題/領域番号 |
09771117
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
桃原 茂樹 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00190984)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | プロテオグリカン / デルマタン硫酸 / ケラタン硫酸 / デコリン / バイグライカン |
研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)や変形性関節症(OA)では、関節軟骨や膝関節半月の修復再生は重要な研究対象と思われる。本研究の最終目標は、関節軟骨及び半月板の生態病態の解明とともに組織再生の臨床応用への試みである。膝関節軟骨及び膝半月細胞の細胞外基質には、ムコ多糖を持つプロテオグリカン(以下PG)が重合したアグリカンやデルマタン硫酸基を持つ分子量の小さいデルマタン硫酸PGなどが存在する。しかし、実際の機能ではまだ不明な点も多い。先ず、alginate beads systemによる三次元培養法を用いて、犬膝関節軟骨細胞、膝半月細胞を用いてPG、デルマタン硫酸PGの代謝について研究を行った。これより、PGの半減期が57日である正常関節軟骨細胞に比べ、正常膝半月細胞のPGの半減期は10日と短かいこと、正常関節軟骨細胞はすでに関節軟骨細胞のPGが細胞周囲基質や細胞間基質ともにアグリカンが主体であることが明らかにされているのに対し、正常膝半月細胞におけるPGはアグリカンではなく、デコリン等の分子量の小さいPGが細胞周囲に長く留まること、さらに変性膝半月では正常膝半月細胞に比べ、PGの産生量が減少しているものの、よりその傾向がより強くなることが明かになった。この現象は年齢が高くなるに従いより顕著になることも判明した。続いて、人体組織での現象をRA及びOA患者で人工膝関節置換術施行の際に採取し得た膝関節軟骨、膝半月を用いてアグリカン及びデルマタン硫酸PGの発現、局在を各種抗糖質のモノクローナル抗体を用いて検討を行った。正常ではケラタン硫酸を含むPGのみが染色が陽性であったのに対して、変性部ではケラタン硫酸のみならず、デルマタン硫酸PGが多く産出されていることが明らかになった。この事実は、変性が進んだ部位での関節軟骨細胞や膝半月細胞は、修復する目的か、又はアグリカンを産生できないため止むを得ずデルマタン硫酸PGを産生するものと考えられた。さらに現在、PCRを用いて遺伝子発現について検討中である。デルマタン硫酸PGの役割を解明出来れば、今後臨床面で膝関節軟骨、膝半月組織の修復再生治療に役立つものと考えられる。
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