研究概要 |
腸圧人工呼吸管理に関連しておこる末梢気道の変化と人工呼吸器の条件との関連を定量化する目的で,次のようなプロトコールで画像の撮影と解析を行った. ASA1〜2,年令20歳〜70歳の子宮筋腫摘出術または前立腺摘出術をうける患者6例に対し,術中直径2.2mmの極細気管支ファイバーをを用いて,第10〜13分岐の気管支を観察した.今回は下腹部の手術患者を選択し,肺に拘束性の負荷がかかる状態で撮影を行った.麻酔は酸素,笑気,セボフルランより維持し,人工呼吸器の設定は,従量式で一回換気量=体重×10(ml),呼吸回数10回/分,PEEP=3cmH_2O,I:E比=1:2とし,気管支ファイバーは手術中気管内に留置した.測定は,麻酔導入後加刀前,加刀1時間後,2時間後,閉腹後に行った. 結果は,気管支の長径/短径比は,コントロール132±0.26に対し,1時間後が1.44±0.13,2時間後2.39±1.34,閉腹後156土0.27であった.百分率に直すと,コントロールを100とした場合,1時間後112.73±0.99,2時間後は177.46±58.85,閉腹後は122.67±38.55であった.コントロールとの比較では,1時間後では有意差がなかった,2時間後はコントロール,1時間後と比較して,さらに気管支が扁平化する傾向が認められたが,症例数が少なく、有意差はなかった.2時間程度の陽圧人工呼吸管理では,末梢気道は扁平化する傾向にはあるものの,有意差はなかった. 今後はさらに肺に拘束性の負荷がかかり,かつ長時間の陽圧人工呼吸管理が必要な上腹部の手術での解析を予定している.
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