研究課題/領域番号 |
09771193
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 明治鍼灸大学 |
研究代表者 |
福田 文彦 明治鍼灸大学, 鍼灸学部・鍼灸学科, 助手 (80238485)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 灸刺激 / c-fas / Fas蛋白 / ホルマリン / 免疫組織化学 / Aδ線維 / c-fos / Fos蛋白 / Enkephalin / 伝達機構 / 鎮痛機構 / in situ hibridization |
研究概要 |
【目的】鍼灸治療の効果として最も顕著なものに鎮痛効果がある。また灸治療は、養生の治療法として親しまわれてきた。そこで灸刺激の伝達・鎮痛機構を解明するためにc-fosを指標として形態学的に検討するとともに痛み刺激(ホルマリン)と比較検討した。c-fosは細胞外からの刺激に応じて早期に発現し、特にEnkehalinやDynorphinなどのオピオイドペプチドの発現に関与している。 【方法】実験動物にウイスター系ラット(250〜350g)を使用した。灸刺激は重さ1g、直径0.7mm、高さ2mm、燃焼温度約130℃のペレット状のもぐさを作成し、麻酔下のラットの足底指球部に燃焼させた。 1. 灸刺激10回後の時間経過に伴う脊髄後角に発現するFos陽性細胞の分布様式の違いを免疫組織化学を用いて検討した。 2. ホルマリンを灸刺激と同部位皮下に注入し2時間後の分布様式を免疫組織化学を用いて検討した。 【結果・考察】10回の灸刺激では、L4、L5のレベルで刺激後0.5時間から12時間までFos陽性細胞が確認された。刺激2時間後には、後角のI・II層を中心に最も多くの陽性細胞が見られ、時間の経過とともにIV・V層に多く見られるようになった。しかし一般的な熱刺激では、24時間以降もFos陽性細胞が確認されるとの報告もあり、今回の結果は、刺激部位が極く限られた部位であったため12時間以後ではFos陽性細胞が確認出来なかったと考えられる。 ホルマリンと灸刺激の比較では、矢状面では、ホルマリンでは、L3からL4を中心に分布していたのに対して、灸刺激では、L4からL5を中心に分布していた。これは、灸刺激が皮膚表面を刺激するのに対して、ホルマリン刺激では、皮下へホルマリンが拡散するためと考えられる。横断面の比較では、灸刺激はホルマリンと比較してI・II層では、背内側に限局して分布していた。またIV・V層などの深層では、確認出来なかった。この結果は、ホルマリン刺激が、各種の神経線維を興奮させるのに対して灸刺激ではAδ線維を主に興奮させたと考えられ、痛み刺激と灸刺激の違いを明らかに出来たと考える。 今後は、更にmRNA発現の時間経過や他のペプチド等、また他の刺激との比較検討を追究していきたい。
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