研究課題/領域番号 |
09771194
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
南 敏明 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00257841)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | プロスタグランジン / アロディニア / 痛覚過敏反応 / 一酸化窒素 / ノシセプチン / ノシスタチン / ノックアウトマウス / 脊髄 / NMDA受容体 |
研究概要 |
PGによるアローディニアの発現機構 一次求心性神経の痛覚伝達に関与する神経伝達物質はサブスタンスPとグルタミン酸が知られているが、薬理学的実験およびNMDAグルタミン酸受容体ノックアウトマウスを用いた実験から、PGE_2とPGF_<2α>によるアロディニアはグルタミン酸-一酸化窒素(NO)を介することを示し、PGによるアロディニアは中枢性の興奮性の増大に起因し、海馬や大脳皮質でみられる神経の可塑性変化である長期増強と同じ機能的変化によることを明らかにした。さらに、我々は、ラット脊髄スライスを用いてのNO定量系を確立した。この系では、NOはpmol単位で定量でき、PGE_2が脊髄スライスからNOを遊離させることを明らかにした。 ノシセプチンおよびノシスタチンの痛覚伝導における役割 我々はウシノシセプチン前駆体から切り出される相反する2つのペプチド、ノシセプチンおよびノシスタチシが痛覚伝導に重要な役割をはたしていることを明らかにした。ノシスタチンはノシセプチンだけでなくPGE_2およびPGF_<2α>で惹起されるアロディニアも抑制する。さらに、ノシスタチンはノシセプチンとPGE_2の痛覚過敏反応も抑制する。ノシセプチンとノシスタチンはいずれも脊髄後角の第I、II層に局在し、ノシスタチンの抗体をマウス髄腔内に前投与するとノシセプチンのアロディニアの域値が低下したことから、内因性のノシスタチンがノシセプチンの作用を抑制することを示した。 ノックアウトマウスを用いた痛みの研究 リポカリン型PGD合成酵素のノックアウトマウスではPGE_2のアロディニアが誘発されず、極微量(10-100fg)のPGD_2をPGE_2と同時投与することにより野生型マウスと同様のPGE_2によるアロディニアが誘発された。PGD_2はヒト、サルだけでなく齧歯類の中枢神経系で生成される主要なアラキドン酸代謝物であるため、PGD_2が非侵害性触覚刺激により誘発されるアロディニアにおいて内因性の痛覚伝達の調節因子として重要な役割を果たしていることを示した。
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