研究概要 |
腎細胞癌細胞株(KU-2ならびにCaki-1など)に対するthrombospondin(TSP)(0.1,1,10,100,1000ng/ml)の72時間培養後の抗腫瘍効果はほとんど認められなかったが、10^4ng/ml以上のTNP-470は殺細胞効果を示した。10^4ng/mlのTNP-470はKU-2に対する0.1および1μg/mlのmitomycin Cの抗腫瘍効果(8.8%,28.9%を増強し(13.2%,51.0%)、また0.1および1μg/mlのadriamycinの抗腫瘍効果(23.2%,74.9%をも増強する可能性が示唆されたが、Caki-1に対する相乗効果は認められなかった。一方、10^3ng/mlのTSPはKU-2に対する0.1μg/mlのMMCの抗腫瘍効果(36.5%)を増強し(52.4%)たが、ADRとの相乗効果は認められず、Caki-1においてはTSPとMMCならびにADRによる相乗効果は認められなかった。腎細胞癌細胞(KU-2)においてTSPならびにTNP-470は抗癌剤の抗腫瘍効果を増強しうる可能性が示唆された。前立腺癌細胞(PC-3)にたいする72時間後の0.1,1,10,100,1000ng/ml濃度のTSPの抗腫瘍効果はそれぞれ-3.4%、4.0%、0.4%、5.9%,5.2%、であった。一方、10、10^2、10^3、10^4、10^5 ng/ml濃度のTNP-470のPC-3細胞に対する抗腫瘍効果はそれぞれ-5%、1.4%、4.2%、64.6%、98.5%であり、前立腺癌細胞に対するTSPの抗腫瘍効果は低かったが、TNP-470は高濃度において抗腫瘍効果を示した。
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