研究課題/領域番号 |
09771279
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
真田 光博 広島大学, 医学部, 助手 (80284181)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 血液レオロジー / 赤血球変形能 / 閉経 / ホルモン補充療法 / エストロゲン |
研究概要 |
血液レオロジーは動脈硬化発生における血行力学的因子の一端を担っており、その中でも赤血球変形能(Erythrocyte Defomavility:ED)は血液レオロジーを左右する最も重要な因子である。我々は閉経女性では未閉経女性に比較し、赤血球変形能が低下することを証明し、またエストロゲン補充療法によりEDが改善することを臨床的に観察した。 その機序としてEDは赤血球内カルシウムイオン(Ca^<2+>)による膜骨格蛋白の架橋形成の促進や膜脂質組成の変化によって低下することが報告されており、第一にエストロゲンと赤血球内カルシウムイオンの関連性を検討する目的で培養系を用いて閉経女性の赤血球に各種薬剤(Ca^<2+>カルシウム拮抗薬、17β-エストラジオール)を添加、共存培養し、EDを測定した。その結果、EDはCa^<2+>添加群ではCa^<2+>非添加群に比較して有意に低下していたが、Ca^<2+>とカルシウム拮抗薬および17β-エストラジオールの同時添加ではいずれもCa^<2+>非添加群と差がなかった。このことからエストロゲンは赤血球内へのCa^<2+>の流入を抑制し、EDを改善させていることが示された。第二に赤血球変形能はその膜リン脂質組成と関連性のあることが示唆されているが、われわれは薄層クロマトグラフィーを用いて、膜リン脂質組成のうちphosphatideyl ethnolamine/phosphatidyl choline比の変化を観察した。また、閉経女性の脂質動態にはアポリポ蛋白E遺伝子多型の関与していることを報告したが、閉経後の赤血球変形能の低下にもアポE遺伝子多型性が関与していることを見い出している。現在までのところへ閉経後低下したEDがエストロゲン補充療法で改善することを確認したが、この理由のひとつとしてエストロゲンは赤血球内へのCa^<2+>の流入を抑制し、カルシウム拮抗薬類似の作用を示すことが想定された。また、臨床的にもエストロゲン補充療法前後の眼底血流を比較すると治療後血流が改善することが確認されており、エストロゲンによるEDの改善作用が微少循環改善に寄与している可能性が示唆された。ただ、これがどの程度の割合で関与しているかは不明で、今後赤血球の膜脂質組成の変化を含め、これ以外の関係因子の検討をすすめていく予定である。
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