研究概要 |
(研究目的)従来子宮内膜症は腹腔内の免疫能低下によるという説があるが、我々は病巣におけるTSPのmRNA発現を報告し、細胞性免疫能は活性化していると考えている。一方胸腺外におけるT細胞の分化は外来抗原と接する防御機構の第一線においてみられる。女性子宮内膜、腹腔は解剖学的には外界と交通しγδ細胞を含め胸腺外分化T細胞が腹腔内にも存在する可能性がある。昨年までの研究により症例数は少ないが子宮内膜症患者腹水中のレパトア使用数は正常女性に比べて少ない傾向にあることがわかった。子宮内膜症における使用レパトアの優位性があるか更に検討した。 (研究の方法)子宮内膜症患者、非内膜症女性を対象としheparin添加下に開腹手術、腹腔鏡検査時に腹膜や大網表面を生理食塩水にて洗浄し腹水細胞を採取する。これらの検体より単核球を分離しhuman TCR VγI-IV,Vβ1-28特異的primerを用いてPCRによるレパトア解析を行った。 (結果と結論)症例を重ねて検討した結果、子宮内膜症患者腹水中のVβ使用数は正常女性に比べて少数であることが判明した。γδT細胞のレパトア解析ではVγII,IIIの優位の傾向を認めた。内膜症患者の腹水CD3細胞および未熟なNKTを含むCD56^<++>細胞におけるRAG-1,2の発現の検討は、まだ十分な結果が得られず、今後の課題である。
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