研究概要 |
音声での感情の違いによる変化する声帯振動様式、声帯の振動形態の違いを解析するにあたり、そのパラメーターに影響すると考えられる音程による違いや、声の大きさの違いによる差違について、男性3人、女性5人の被検者による胸声区内での高音,中音,低音、頭声区、vocal fryなど様々な発声法をsoft,medium,loudの3段階の強さを対象とした。超高速高解像度声帯振動ディジタルイメージ撮影装置(HSDI)画像上から4つの声門横径波形(GWW)と声門面積波形(GAW)を出した。電気声門図(EGG)波形と光電声門図(PGG)波形をGWW,GAW,声帯振動撮像と対比させた。GWW,GAW上での閉鎖期の始点、EGG波形の上昇開始点,閉小期にある上昇部にみられるknee,最大点、PGG波形の最小点などを各発声ごとに比較検討した。EGG波形にみられる閉小期のkneeはlow tone,easy phonation,high toneのそれぞれでloud発声時は消失しており、medium発声で明らかになり、soft発声ではさらになだらかな上昇を示した。また、kneeが消失した急激な上昇を示すときは、各GWWはほぼ同時に0を示した。PGG Min.は声門閉鎖期内にあったが、EGG Max.とは一致しなかった。またHSDIのGAWからみた閉鎖期の始点と終点ではPGGの値は同じでなく始点の方が高いことが多かったが、終点の方が高いこともあった。EGG波形の閉小期と開大期ではいくつかのパターンがあり、特に閉小期のEGG波形はGWWとよく対応していた。 以上について第42回音声言語医学会、第10回喉頭科学会にて順次報告した。更に声門開大及び声門閉鎖のパターンとそれに対応したEGG波形のパターンについて及びその要因について、第99回日本耳鼻咽喉科学会総会にて報告した。以上3学会誌に投稿準備中である。これらをもとに感情表現の比較する項目として声帯振動とよく対応するものを用いて更に検討していきたい。
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