研究概要 |
ヒトのぶどう膜炎であるVogt-小柳一原田病や,交感性眼炎などの動物モデルと考えられる実験的自己免疫性網膜ぶどう膜炎(EAU)は,臓器特異抗原を免疫することにより,抗原提示細胞上のdassII主要組織適合抗原と結合した抗原が,特定のT細胞レセプターを持つヘルパーT細胞を活性化し,臓器特異的に炎症を惹起するものである。これまで,ラットにおいては疾患モデルが確立され,眼特異抗原の免疫により炎症を惹起し,特異抗原の静脈内投与により,抗原特異的にEAUの発症を抑制できることがペプチドレベルで明らかにされている。昨年度は,マウスにEAUを確立するための,ペプチドの合成を行い,マウスにおけるEAUの確立に成功した。H-2A^kマウスにおいて,H-2A^kのT細胞レセプター結合モチーフと考えられる,眼特異抗原の視細胞間レチノイド結合蛋白(IRBP)由来の合成ペプチドを作成した。免疫原性とぶどう膜炎原性を検討したところ,ペプチドK2(IRBPaa201-216)がぶどう膜炎原性を有してることがわかった。今回,Macrophageinhibotory(MIF)が,ヒトのぶどう膜災患者の血清中で高値であり,活動性のT細胞に対して,MIFが何らかの制御機構を有している可能性がわかった(InvestOphtalmolVisSci40:247-50,1990).そこで,LEWラットにペプチドRl(ADGSSWEGVGGGPDV)を免疫し,EAUを惹起し,抗IMF抗体がどのように制御しているか検討したところ,抗IMF抗体を免疫直後に全身投与すると,対照群と比べてEAUの発症が抑制されていることが判明した(投稿中).しかし,胸腺摘出による影響は,胸腺摘出の手術手技による影響により,一定の結果を得ることができなかった.現在,マウスのEAUモデルにおいて,抗MIF抗体の抑制実験を進行中である.
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