研究概要 |
成熟ラットで観察された片眼摘出後上丘でのH3受容体のup-regulationの機構の解明のための以下の実験により、本年度は更にその詳細につき検討が可能となった。 片眼摘出および遮断ラットにおけるヒスタミンH1,H2受容体の変化 成熟ラットでは片眼摘出後15日目でH1受容体のリガンドである[3H]ピリラミン、H2受容体のリガンドである[125I]ヨードアミノポテンチジンの結合量に両側上丘の間で明らかな左右差は認められなかった。幼若モデルにおいても片眼摘出後、片眼遮断後のいずれにおいても両リガンドの結合量に左右差は観察されなかった。 片目摘出ラットにおけるNOS,NADPH-d,HDC,GFAP免疫組織化学反応 片眼摘出後のラットおける上丘でのヒスタミンニューロン、グリア細胞の形態学的変化を観察するためにヒスチジン脱炭酸酵素(Histidine Deocarboxylase:HDC)、GFAP(Glial Fibrillary AcidicProtein)に対する抗体を用いて免疫組織化学法を試みた。また神経細胞傷害時には一酸化窒素(NO)が誘導されることが知られているが、この産生酵素である神経型一酸化窒素合成酵素(neuronal NOS)が同部位で片眼摘出後どのように変化するかをNADPHジアホラーゼ(NADPH-d)活性およひNOS抗体に対する免疫組織化学法を用いて観察した。片眼摘出後の対側上丘においてはGFAPに対する強い免疫反応が観察されたが、他の物質では変化は見られなかった。 以上の結果及び昨年度に得られた結果から、片眼摘出後の上丘でのヒスタミン受容体のup-regulationはH3受容体に特異的であること、またこの現象には眼球摘出という除神経が必要であり、同部位で増加したH3受容体が後シナプス側にあることが推測された。
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