研究概要 |
現在、原発開放隅角緑内障における原因遺伝子はGLC1A(MYOC/TIGR)遺伝子が同定されている。我々は、この遺伝子の変化と緑内障表現型の解析を日本人の正常者と開放隅角緑内障患者(POAG)、正常眼圧緑内障患者(NTG)、高眼圧症患者(OHT)において行った。 POAG134例から4例(3.0%)、NTG123例から3例(2.4%)、OHT33例から1例(3.0%)の緑内障原因遺伝子の変化を発見した。これはNTGとOHTにおける緑内障遺伝子変化の最初の報告である。また、日本人のPOAGにおいて、緑内障遺伝子変化は欧米人とほぼ同程度の頻度で認められた。さらにNTGやOHTにおいても、ほぼ同程度で遺伝子変化が認められたことは非常に興味深い発見である。また正常者49例の解析と海外との共同研究で、この緑内障遺伝子の塩基配列に変化が認められても部位によっては緑内障を発現しないことを示した。さらに、欧米に多い遺伝子の変化部位が日本人には認められず、別の部位に変化如多いことも示した。これらの研究結果は、日本緑内障学会、日本臨床眼科学会、The American Society of Human Genetics(Denver,USA)にて発表した。また共同研究結果はHuman Molecular Geneticsに掲載予定である。さらに、日本人のNTGとOHTの遺伝子変化はThe Association for Research in Vision and Ophthalmology(Fort Lauderdale,USA)にて発表予定である。これらの研究は、将来の緑内障の遺伝子診断において、変化部位や人種差の検討という意味で非常に重要な研究と考えられている。
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