研究概要 |
実験はカニクイザルまたはウシの摘出眼球から網膜色素上皮をとりだして培養する予定であったが、いままでにヒト網膜色素上皮細胞を用いてUCLA Jules Stein Eye Instituteにて実験を施行してきた経験をいかすため倫理審査会にて承認をえたうえでヒト胎児からの網膜色素上皮を使用することとした。しかし、実際には希望する週数は20週をこえるものでの提供はなくヒト網膜色素上皮の培養は実施できていない。その間、ウシ眼からの網膜色素上皮と近年網膜色素上皮の代用として虹彩色素上皮が考えられており同時に虹彩色素上皮の培養を試みた。初代培養はCaフリーとし一度細胞をばらばらにし、1週間後に浮遊したもののみを単層になるように培養したもの、機械的に分離し培養したもの、いずれも十分な組織抵抗が得られない状態がつづいており、また、使用していた培養液(Sigma)が生産中止となった。培養方法と培養液を網膜色素上皮の培養でなくRezaiら(1997、IOVS,38,2255.60)の虹彩色素上皮の培養方法に従っておこなっている。また、培養に平行して以前から行なっていた新鮮ニワトリ網膜色素上皮をもちいた細胞内記録(apical膜とbasal膜の電位記録)でbicarbonateの実験をおこなった。ニワトリはネコやヒトと異なりapical膜からのbicarbonateによりbasal膜の脱分極とそれに続くapical膜の過分極により常在電位が低下した。
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