研究課題/領域番号 |
09771507
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
宮崎 敏博 長崎大学, 歯学部, 助手 (10174161)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | ヒト / 口唇腺 / 舌下腺 / 漿粘液細胞 / 粘液細胞 / 微細構造 / 細胞化学 / ヒト口唇腺 / マイクロウェーブ固定 |
研究概要 |
電子顕微鏡的に従来純粘液腺として報告されていたヒト口唇腺終末部の細胞構成について、本研究による詳細な再検討により以下の知見が得られた.(1)口唇腺分泌細胞は微細構造的、糖質細胞化学的には、従来の報告に一致して粘液型細胞のみからなる。標本上ではその各種成熟相の表現型に相当すると考えられる4型の細胞(未熟型・成熟型各2種類)が観察できる。未熟型の分泌顆粒には中性糖が含まれ、成熟型において酸性糖およびシアル酸残基が付加されることが示唆された。(2)漿液成分(リゾチーム、アミラーゼ、ラクトフェリン)は未熟型の低電子密度の分泌顆粒(およびゴルジ装置、粗面小胞体)に局在する。従来の導管細胞にも局在するとされる報告は、標本作成上の問題による偽局在であることが示唆された。(3)混合腺として一般的に分類されているヒト舌下腺終末部の構成細胞は口唇腺と非常によく類似している。舌下腺の漿液細胞とされている細胞の分泌顆粒には口唇腺と異なり、漿液細胞に特徴的な高電子密度の亜構造が見られるが、リゾチームは、口唇腺と同様に顆粒の低電子密度の基質中に局在する。すなわち、顆粒の電子密度が必ずしも漿液顆粒、粘液顆粒の分類に反映しないことが明確になった。(4)以上のように口唇腺の未熟型細胞は、分泌顆粒の電子密度を除き一般的な漿液細胞と一致し、すなわち漿粘液細胞に分類できる。結論としてヒト口唇腺は混合腺に他ならない。(5)口唇腺、舌下腺ともに、微細構造的に未熟な終末部の分泌細胞は全て漿液陽性であり、漿液陰性の“未熟粘液細胞"は同定できない。すなわち、混合腺における漿液細胞と粘液細胞が一つの細胞連鎖上(成熟関係)にあるという仮説が成り立つ。現在、この仮説を検討すべく、漿液細胞と粘液細胞の増殖・分化能と、細胞死との関連についてBrdU、Ki67等の増殖因子、TUNEL法、ISEL法等のアポトーシス検出法を用いた研究に展開中である。
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