研究概要 |
<目的>間葉系細胞における細胞外カルシウム濃度の上昇が,細胞増殖,細胞分化およびBMPsのmRNAの発現に及ぼす影響を調べること。<方法>1.細胞:歯肉由来正常ヒト線維芽細胞(HFB-G)および下顎骨由来正常ヒト骨芽細胞(HOB-M)を用いた。2.細胞増殖:[^3H]thymidineの取り込みを指標とした細胞増殖アッセイにより検索した。3.細胞分化:細胞ALP活性を指標とし検討した。4.BMPs遺伝子発現に及ぼす影響:定量的RT-PCR法により検討した。<結果>1.0.1-1.2mMの細胞外カルシウム濃度の上昇はHFB-GおよびHOB-Mの両者において濃度依存性に細胞増殖を有意に増加させた。至適濃度は各々,1.2mMおよび0.4mMであった.2.両細胞ともにアルカリホスファターゼ活性を指標とした細胞分化には有意な影響は及ぼさなかった。3.低濃度(0.1-0.4mM)の細胞外カルシウム濃度の上昇は両者においてBMP-2,4,5のmRNAの発現を有意に増加させた。〈結論および考察〉細胞外カルシウム濃度は間葉系細胞のBMPs産生を調節する因子のうちの一つと考えられ,細胞外カルシウム濃度の増加後の骨形成あるいは結合織中での異所性の骨形成の促進作用にBMPs産生上昇が関与している可能性が考えられた。本研究の結果は,異所性の骨化の機序解明やハイドロキシアパタイト等カルシウム複合体を骨において応用する上で有用な結果と考えられた。〈おわりに〉本研究の概要は第19回米国骨代謝学会(Abs.#F346)において発表した。現在,英文雑誌に投稿中である.
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