研究課題/領域番号 |
09771518
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
阿部 伸一 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40256300)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 筋付着部 / 筋線維 / 腱 / ICR系マウス / アザン染色 / 顎運動 / PVAスポンジ / in situ Hybridyzation / 再生 / 咀嚼 |
研究概要 |
咀嚼筋は骨に付着し機能するため、両者の関係は密接であり、お互いの関係を解明することは、複雑な顎運動を解明していく上で、多くのヒントが得られると考える。そこで著者らは、この筋の骨への付着部に注目し、損傷を与えた後の経時的変化について観察する事により、これまで不明な点の多かった筋と骨の付着の意味することについて考えていくことにした。 実験材料は、生後50日齢のICR系雄性マウス(日本クレア)20匹を用いた。実験後、通報に従い、パラフィン薄切切片を作成し、染色は、H-E染色と、アザン染色を施した。コントロール群(非実験群)の組織像を観察してみると、付着線維の走行ならびに付着部骨組織の骨化様式の違いにより、骨膜性付着部、移行部ならびに鍵性付着部の3部に分類することができた。そのことを踏まえ、この付着部に損傷を与えた実験群の治癒過程を追ってみた。術後3日齢では、最表層の鍵は、損傷を受け方向性を失い、筋線維は断裂し、連続性を失っていた。術後7日齢では、損傷した筋は、染色性が弱まり、本来赤く染まるはずの筋が、腱と同じ青で染まっていた。このことは、筋の壊死を表していると思われた。術後14日齢では、咬筋最外層の腱性組織が方向性を取り戻し、修復されていた。筋組織はまだ治癒していなかった。この時期のマウスは、軟食だけでなく、通常のえさも食べるようになっており、咀嚼機能がある程度回復したと考えられた。 このことは機能の回復のために最表層の骨への鍵性の線維の修復が筋全体を保護し、機能をある程度回復させている可能性を示唆している。今後さらに、筋組織が完全に修復される時期まで観察時期を延長し、筋線維の修復、筋の骨への付着部の修復、骨組織の修復など多方面からの検討が必要であると考えられた。
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