研究概要 |
本研究では,顎下線主導管を構成している各々の細胞に取り込まれた物質が細胞外に放出されるか否か,また細胞内にとどまるとすればどのような形でとどまるのかをカチオン化フェリチンおよび金コロイドを指標にして経時的に電頭観察にて明らかにすることを目的として実験を行い,以下の所見を得た.但し,金コロイドを指標とした取り込み実験は,金コロイドの荷電の状態が安定せず,安定したデータが得られなかったため本研究では,カチオン化フェリチンのみのデータとなった. 1. カチオン化フェリチンは,基底細胞を除く3種類の細胞で取り込みが認められた. 2. カチオン化フェリチンの取り込み実験により細胞内に取り込まれたフェリチンは,取り込み小胞を経由し,多胞小体,二次ライソゾームへ移行していた.また,多胞小体,二次ライソゾームでは酸性フォスファターゼ活性がみられた. 3. フェリチンの細胞内輸送経路は,小胞を経由してライソゾームに送られ修飾されるケース,小胞を経由して多胞小体に送られ修飾されるケース,同じく小胞を経由するがほとんど修飾を受けずに細胞間隙に放出されるか,基底側に到達し基底側の細胞膜から基底膜に向って放出されるケース等が観察された.
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