研究概要 |
嫌気的条件下のS.mutans糖代謝系で,重要な役割を担っているビルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)はラジカル酵素であり,その活性化にはラジカル形成に関与するPFL活性化酵素(PFLactivase)の存在が必須である.S.mutansのDPFL活性化酵素遺伝子(act)は,E.coli等のそれと違い,PFL遺伝子の下流には存在しなかった.よって,報告のあったact数種の情報をもとに,アミノ酸残基間で相同性の高い領域を選定してプライマーを合成し,S.mutansGS-51S3株の染色体DNAを鋳型としてPCR反応を行い,act断片をクローニングした.そして,このact断片の情報をもとにゲノムウォーキング法等により全act領域をクローニングし,瑞基配列を決定した.S.mutansのact(塩基数789)は,263アミノ酸残基をコードしており,推定分子量は30148で,E.coliのそれとのアミノ酸残基間における相同性は,43.8%,identical;79.3%,conservedであった.E.coliにおいてPFLactivaseの活性中心と報告されたCys-29,Cys-33,Cys-36の領域は,S.mutansではCys-37,Cys-41,CyS-44の領域として保存されていた.また,親株染色体DNA上のCDS領域に,Campbellタイプの相同組換えによってベクター領域と抗生物質耐性遺伝子を挿入して作製した変異株YASC9YK2(act-mutant/PFLactivase,-)では,PFL活性は検出されなかった(PFLactivaseは,PFLにラジカルを導入してPFLを活性化する酵素であり,活性を直接的に測定することは出来ない.よってPFLactivase活性は,PFL活性化系における計時的なPFL活性の上昇として検出した).しかし,SAKC5Y2C1(pfl-mutant/PFL,ー)とYASC9YK2のcell-freeの菌体内抽出成分を混合して,変異株同士によるPFL活性化系の再構成を行うと,親株の76.5%に相当するPFL活性が検出された. ー論文投稿準備中ー
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