研究概要 |
歯周ポケットと歯槽頂縁部の骨の変化について、画像上でその関連を捉えられれば意義は深いと思われる。そこで、今回口内法デジタルX線画像システムを用い、歯周ポケットについては造影法を、また歯槽頂縁部の骨の変化を評価するためにはAl当量画像を組み合わせた手法を試みた。口内法デジタルX線画像は、モリタ社製のDixelを使用した。また、ステントとアルミステップを付けた撮影インジケーターを使用し,なるべく個々の撮影条件を一定となるようにした.造影剤は、消化管用造影剤であるバリウムを用いた。造前曲の画像で,左下第2大臼歯の近心部の舌側に垂直性骨欠損がわかったため、造影剤を頬側のポケットに注入した.サブトラクション画像で、第2大臼歯の近心側の浅いポケットが描出された。これは、実際の肉眼的所見と一致していた.次に、左上第2大臼歯の近心部に垂直性骨欠損が疑われ、近心部のポケット造影をした。造影により深部まで造影剤の流入が見られた.サブトラクション画像では、第2大臼歯の近心部に逆三角形様に造影された骨縁下ポケットがはっきりと写し出されており、また肉眼的所見と一致していた。 Al当量画像の作成は、Dixelにより撮影を行った後、Dixel画像ファイルを変換し、歯槽頂縁部のAl当量画像を表示し、アルミ当量による骨塩量の測定を行ない、術前術後の歯槽骨の変化を評価した。CTR法を適用した症例において、術後2年のデジタルX線画像より根分岐部の歯槽骨が新生されたことが解った。Al当量画像のフルスケール0-8ミリのカラー画像と、Al当量の2mmおきに階調を変えた等高線画像は、骨のアルミ当量が色彩でとらえられるため明解で、以後の経過観察に有効と思われた。
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