研究概要 |
ベーチェット病は失明率の高い難治性ぶとう膜炎であり、また全身の諸臓器に慢性炎症を生じるため、ともすれば死に至る全身性炎症性の難病である。特に4主症状の1つである口腔内アフタは本病にほぼ必発であり、初発症状としてみられることが多いため、歯科・口腔外科領域においても極めて重要な疾患である。ベーチェット病発症に何らかの遺伝的背景(疾患感受性または病因遺伝子)が関与していることは疑いなく、少なくともその1つは第6染色体短腕上のHLA領域に存在していると考えられている。本病は人種を越えてHLA-B51抗原と強く相関していることが明らかにされているが、われわれの解析では本病の病因遺伝子はHLA-B51抗原遺伝子そのものではなく、HLA-B遺伝子近傍の他の遺伝子である可能性が示唆されている。 われわれは、HLA-B,-C遺伝子を含むYACクローンをpWE15コスミドベクターにサブクローニングし、約600kbのコスミドコンティグを完成した。このYACクローンはキメラであることが判明したため、第6染色体由来の領域の全塩基配列を蛍光自動シークエンサーを用いたショットガン法にて決定した(236,822bp)。さらに、RT-PCRやノザンハイブリダイゼーションにより、未知の新遺伝子8個(NOB=new organization associated withHLA-B)の存在を確認した。これは今後これらの遺伝子が発現している組織のcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、cDNAクローンを分離して遺伝子構造を明らかにすることで、PCR-SSCP法により本病との関連の可能性がある.
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