研究課題/領域番号 |
09771636
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
永井 康彦 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (60281284)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 根面齲蝕 / フッ化物応用 / 再石灰化 / 実験的根面齲蝕 / セメント質 / 脱灰 |
研究概要 |
1. 脱灰後/再石灰化後のミネラル分布(根面齲蝕進行過程)脱灰におけるコンタクトマイクロラジオグラフィー(MR)の特徴的所見は、病巣内部にX線不透過層を認めることである。この要因としては、溶解したミネラルが深層で停滞、これに適量のフッ素イオンが作用してミネラルが深部で再沈着したこと、および内層の有機質にミネラルが沈着した可能性が示唆された。また、再石灰化根面の特徴的所見は、再石灰化部のミネラル量が、健全部よりも高い状態を示すことである。この過再石灰化層は、エナメル質には見られない根面特有の再石灰化所見と思われる。過再石灰化層の要因としては、組織空隙の存在に加えて、脱灰が間質よりも細管の周囲と内部で著しく進行し、かつセメント質と象牙質のアパタイト結晶容積が小さいため、総じて反応性が高められる機構が考えられた。 2. 各種薬剤における齲蝕(脱灰)進行抑制効果 根面の齲蝕(脱灰)進行抑制効果程度をフッ化物処理別に比較した結果、ミネラル増加量は、SnF_2群>APF solution群>APF gel群>フッ素洗口液群の順で高い傾向を示した。経時的にミネラル増加量(進行抑制効果)を観察すると、SnF_2群とAPF群では、処理後7日後までにほぼ上限に達し、14日後との間の差は有意ではなかった。今回は、サンドイッチ試料を用いたため、溶液量/試料面積比が過大であり、塗布直後すでにフッ素取り込みが著しいことも加わり、再石灰化(ミネラル増加)が急速に発現したものと考えられる。in vitroにおける齲蝕進行抑制効果は、進行過程でフッ化物を作用させることにより抑制され、特にSnF_2、APF solution/gelで処理した場合に強く抑制されることが確認された。フッ化物の応用は、根面初期齲蝕の進行抑制処置として有効であり、臨床的にも応用価値のあることが示唆された。しかし、今回の実験においては、齲蝕(脱灰)進行抑制効果をMRにおけるミネラル獲得量から評価したにすぎず、ミネラル獲得そのものが、酸抵抗性すなわち耐酸性を獲得したかどうかは明らかにすることはできなかった。今後より詳細に観察、検討していきたい。
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