研究概要 |
1. 研究目的 本研究の目的は顎関節症の病態診断で日常的に利用されているMR画像を用いて,顎関節症患者の病態と咬合状態の関連について明らかにすることである。 2. 研究方法 顎関節症患者は本学特殊歯科総合治療部外来を受診した患者のなかから任意に選択し,臨床症状と顎関節MR画像等で病態診断を行った29名(平均年齢28.6歳)とした。咬頭嵌合位および側方咬合位での咬合状態をデンタルプレスケールとオクルーザールレジストレーションストリップスの引き抜き試験で評価した。対照群として実験の主旨を十分説明し,納得の得られたボランティア26名(平均年齢25.2歳)にも同様の検査を行った。顎関節部MR画像データによってグループ分けした各被験者群間で咬合データを比較検討した。 3. 結果 顎関節症患者を顎関節部MR画像による関節円板の位置異常の病態で分類すると,非復位性18名,復位性9名,正常2名に分類された。対照群は非復位性1名復位性10名,正常15名に分類された。 咬合との関連について以下に記す。 (1) 患者群,特に非復位患者群は対照群と比較して咬頭嵌合位の咬合力が小さかった。 (2) 非復位患者群は対照群と比較して側方咬合位の非作業側大臼歯部の咬合接触が多くみられ,その部位の咬合力も強かった。 以上の結果から非復位性円板転位患者は咬頭嵌合位での咬合接触が弱く,非作業側咬合干渉との関連が示唆された。
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