研究概要 |
1.絶対的不適合要素 インプラント補綴物の精度に影響を与える絶対的因子として、アバットメント・ゴールドシリンダー等の機械加工されたコンポーネントの精度が考えられる。各コンポーネントの接合部位の垂直・水平的な適合精度をレーザー顕微鏡を用いて計測した。インプラント/アバットメント間の適合精度は、垂直的には15.4μm、水平的には17.5μmであった。アバットメント/ゴールドシリンダーの適合精度は、垂直的には13.4μm、水平的には10.1μmであった。 2.作業過程における不適合要素 片側遊離端形態を想定したマスター模型にインプラントを2本埋入し、アバットメント連結後に、ゴールドシリンダーを用いて通法に従いインプラント支台の3ユニットブリッジを作製した。各コンポーネントは別個に白金加金にて鋳造し、支台装置をマスター模型のインプラントにネジ固定し、ろう付け部位(ポンティックの両側2ヶ所)を仮着し位置の固定を行った。この時の位置関係を理想的状態(コントロール)とし、三次元座標測定器にて各標識点のx,y,z軸における座標点を記録した。ろう付けは、埋没ブロックを用いるものと金属ワイヤーによる電気仮着法の2種類とし、ろう付け間隙を100μmに設定し白色金ろうを用いて火炎ろう付けを行った。ろう付け終了後に近心コンポーネントをアバットメントに固定し、この部位を原点として全コンポーネントの三次元的な相対的変位量を測定した。 x,y,z軸方向の変位量から距離変位量を算出した結果、電気仮着ではポンティック近心で15.7μm、遠心で18.1μmであったのに対し、埋没固定法ではポンティック近心で26.8μm、遠心で30.5μmで、有意に変位量が大きくなった。ワイヤー固定は熱効率が良く、ろう付け操作には有利でインプラント補綴物の様に高い精度が求められる際には有効な手法である。
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