潜在的に顎機能異常をもつ者、とくに片側性の顎関節クリック有雑音者を対象にした、プレスケールによる咬合診査を行った。先に調査した健常者と検比較、検討したところ、以下の知見を得た。 1.咬合接触点数では、六臼歯部において健常者と有雑音者の雑音側では有意な差が示された。咬合接触では片側歯列全体と小臼歯部咬合力では片側歯列全体と小臼歯部において健常者と有雑音者の雑音側とでは有意な差が示された。 2.有雑音者における非雑音側と雑音側との比較においては、咬合接触点、咬合接触面積、咬合力のいずれも、片側歯列全体、小臼歯部、大臼歯部で有意な差が示されなかった。 これらのことから、健常者に比較して有雑音者では、咬頭嵌合位における咬合接触状態が不安定であり、その結果が顎機能を表出する咬合力の低下として認められた。有雑音者における雑音側と非雑音側とでは、咬合接触状態に差が示されなかったことから、片側のクリック有雑音者におても両側に咬合機能の低下が及んでいるものと考えられた。 今後は顎機能異常者についても調査を行い、咬合接触状態と病態との関連について検討を行う。
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