総義歯装着者の側貌顎顔面形態と咬合力の方向との関連性を解明する目的で、被検者9名(男性4名、女性5名)で側貌顎顔面形態を分析し、垂直方向クレンチング時の咬合力の方向を計測し、これらと顎顔面形態との関連性を検討した結果、以下の結論を得た。 1. 男性群と女性群について 男性群と女性群の側貌顎顔面形態では、角度計測項目および長さの割合は有意差を認めなかったが、距離計測項目は有意差を認めた。 咬合力の方向では、すべての指定範囲で結い差を認めなっかた。 2. 顎顔面形態の計測11項目と咬合力の方向との相関性 咬合力の方向θでは、100および50%MC共に、有意な負の相関がAr-Go-Me、SN-OPに認めた。咬合力の方向θ'では、100および50%MC共に有意な負の相関がAr-Go-Me、SN-MP、SN-OPおよびMP-OPに認めた。 以上のことから、総義歯装着者の咬合力の方向は、性差による影響は無く、側貌顎顔面形態に密接な関連性があり、総義歯調製時において適切な咬合平面および咬合高径の設定は、極めて重要であることが示唆された。
|