研究概要 |
1) 健康有歯顎者42例を対象として,2chプローブレーザードップラー血流計を用いて顎顔面血流量の対称性について検討した.その結果,左右側の血流量は有意な相関を示し,回帰直線y=0.74x+3.56(R=0.844,p<0.01,n=1009)が得られ,また部位別の各群で変動を認めた.したがってエプーリスの様な片側性疾患の血流量は,対照部位の血流量を対照として評価し得ることが示された. 2) 健全有歯顎者10例を対象として、測定深度可変プローブを用いて歯肉血流量の計測を行い,組織層別血流量について検討した.その結果,測定深度0.6mmでは各測定群間に有意差は認められず、1.0mmの測定深度ではいくつかの測定群で有意差を認めた。よって,口腔粘膜血流の部位別特性は結合組織層脈管系に由来することが示唆された。 3) エプーリス症例13例を対象として,患側部位および対照部位を同時に測定し,得られたデータを予備実験の回帰分析により左右対照部位の血流量を補正した上で,形態および組織型別に比較検討を行った.その結果,エプーリスの血流量は対照部位との比較において一定の傾向は認められなかったが,広基性エプーリスは血流量が増大しているのに対し,有茎性エプーリスでは低下していた.これらのことから本測定結果はエプーリスの何らかの病態を反映していることがことが示唆された.
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