研究概要 |
本研究では,チロシンリン酸化阻害剤の癌浸潤転移抑制薬としての臨床応用への可能性を追求することを目的に,既にin vitroにおいて明らかにしたチロシンリン酸化阻害剤のMMPの産生及び活性化の抑制が実際にin vivoでの浸潤転移形成に対し有効であるかを検討した。癌細胞のMMP活性と浸潤能への効果についての前年度の結果を踏まえ,さらに転移形成に関して心腔内注射によるヒト口腔扁平上皮癌転移形成モデルによって遠隔転移に対する抑制効果を確認するものである。 1. 口腔扁平上皮癌転移モデルの作製: 上記口腔扁平上皮癌細胞株を4週齢のBalb/C系ヌードマウスの左心室に心腔内注射し4週目にエックス線学的、組織学的に骨転移の形成が確認された. 2. 上記の転移モデルにおいてハービマイシンA処理群と非処理群で比較検討した。 エックス線学的評価:Softex線装置を用いて骨吸収の程度および腫瘍の進展範囲を評価した。ハービマイシンA処理群において抑制される傾向が認められた。 組織学的評価:転移形成巣を取り出し組織学的に検討したが両群間で明かな組織学的差は認めなかった。
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