研究概要 |
本研究は,雄性SD系ラット(300-350g)を用い侵害刺激を与えたときの疼痛関連行動中の脳脊髄液中の神経伝達物質であるGlutamateの経時的変化をマイクロダイアリシスを使用して観察した。合わせて疼痛関連行動(Flinching)の回数を測定した。ラットをハロセン/酵素麻酔下に大槽よりクモ膜下腔にループ型マイクロダイアリシスプローベを挿入し,先端が腰椎1-2レベルに位置するように留置した。手術後3日間に侵害刺激として5% 50μ1ホルマリンを下肢に皮下投与して観察を行った。疼痛関連行動はホルマリン注入後5分毎に1分間の回数を60分にわたって観察した。この結果,始めの10分間に激しいFlinchingが観られ,それが一旦治まった後に25分後あたりから激しいFlinchingが観られるという2相性の反応が観察された。1相目は急性痛で2相目は疼痛過敏状態モデルといわれる。これらの2相性に現われるパターンと脊髄レベルでの神経伝達物質であるGlutamate濃度の変化を比較した。 Glutamate濃度は5分間を1ブロックとしホルマリン注入前の3ブロックの平均をコントロール値としパーセント変換した。結果,疼痛関連行動の1相では脳脊髄液中のGlutamate濃度の上昇が認められたが2相での同様の上昇は認められなかった。マイクロダイアリシスプローベの位置に関しては実験後組織切片にて確認した。
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