研究課題/領域番号 |
09771787
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
山嵜 博義 昭和大学, 歯学部, 助手 (10239949)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 自己血輸血 / サイトカイン / 下顎枝矢状分割咬合改善術 / 炎症性サイトカイン |
研究概要 |
下顎枝矢状分割咬合改善術(以下SSRO)は、術中輸血が必要になる症例があるため、同種血輸血回避の目的で、全例に自己血輸血を行っている。今回、SSROを術中無輸血で行った群(無輸血群)、術前に採血した貯血式自己血を術中に返血した群(貯血群)、麻酔導入時に自己血採血を行い、同時にその1.5倍量の代用血漿剤を投与し、術中に返血した群(希釈群)の3群に分け、生体への侵襲度の指標として、ACTH、サイトカインを測定し、各群のSSROへの適応を検討した。対象は、本研究について同意を得られたASAリスク1度のSSRO施行患者18名とした。測定項目は、Hct、ACTH、IL-6、IL-1βとした。測定時期は、術前、手術直後、第1病日、第7病日とした。統計処理は、術前との比較をStudent-T test、各群間を分散分析で行い、P<0.05で有意差ありと判定した。 Hctは、無輸血群および希釈群で、術前に対し手術直後に有意な低下が認められ、第7病日まで持続した。貯血群では全経過を通して有意な変化は認められなかった。また、各群間では、手術直後および第7病日で、貯血群が他の2群に対し有意に高値を示した。ACTH、IL-6は、3群ともに術前に対し手術直後に有意な増加が認められなかった。なかでも希釈群において、他の2群に比べ有意な増加が認められた。IL-1 βは、3群ともに全経過を通して有意な変化を認めなかった。以上より、希釈群におけるACTH、IL-6の他の2群に対する有意な増加の原因として、急激な自己血採血操作のストレスが、炎症性サイトカインの産生を促した可能性が考えられた。平均出血量500m1程度の本手術の場合、希釈群と無輸血群と比較して術後のHctの回復に差は認められず、また、貯血群のHctの回復が他の2群に比べ有意に良いことから、SSROにおいて同種血輸血を回避するには、貯血式自己血輸血が生体への侵襲度、術後のHct回復の面から、最も適した方法であると思われた。
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