研究概要 |
本年度はCa9-22ならびにHT-29細胞にA.aのLPS存在下での経時的なサイトカインの発現を分子生物学的に検出し,さらに培養上清中のサイトカイン蛋白をELISA法により定量した。なおA.aのLPSは細菌培養後、Hot Phenol法にて抽出・精製した。 1.Ca9-22細胞ならびにHT-29細胞ににA.aLPSを加えた系ではIL-1β,6,8,12(p35),TNF-α,IFN-α,TGF-β1,CD14の発現が認められたがIL-2,3,4,5,7,10,12(p40),IFN-γ,PDGFは認められなかった。また接着分子遺伝子の発現ではICAM-1,ELAM-1の発現が認められたがVLAM-1遺伝子の発現はみられなかった。 2.Ca9-22,HIT-29細胞にA.aLPS刺激した培養上製中の各サイトカイン蛋白の定量において,IL-6,8,10,TNF-α,TGF-βについてELISAキットによる検出を行った。その結果IL-8にのみ発現を認め,培養時間によりHT-29細胞はCa9-22細胞より早く発現が認められた。 これらのことからA.aLPS刺激ではS.minnesotaおよびP.gingivalis LPS刺激でのサイトカイン遺伝子の発現は発現時間には差があるものの、異なる上皮細胞において異なるLPSに対してもほぼ同様のサイトカインの発現が示された。 今後は,各種LPS刺激により上皮細胞からサイトカインおよび接着分子の発現が誘導されたため,各々のanti-LPS抗体を用い,各サイトカインおよび接着分子の発現誘導がLPSに特異的であるかどうか阻害実験を行う。さらに上皮細胞におけるLPSレセプターを探求する予定である。
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