研究概要 |
本研究の目的は下顎骨骨髄炎,即ち炎症部位における血流動体及び血管の分布,組織学的な構造の変化を明確にし臨床応用する事により治療法の決定に重要な情報を得ることにある.本年度は骨髄炎モデルの作製及び血管構造の変化について観察を行った.材料及び方法はNew ZielandWhite種家兎,雄,体重3kgをpentobarbitalsodium全身麻酔下にて下顎下部を除毛し切開を行い骨面を露出させた.下顎角より15mm近心部にラウンドバーにて皮質骨を穿孔し骨腔を形成した.骨髄炎作製に使用した接種菌株はB.fragilisを10^8CFU/mlに調整しその菌液を滅菌綿花に0.03ml湿潤させ骨腔内にブローチにて挿入し,骨膜皮膚縫合を行った.急性炎症の消退後(3週間に統一)コントロールモデルと同様に血管鋳型標本を作製した.全身的に極度の衰弱を認めた個体は削除した.血管鋳型標本は前年度と同様,頭部を灌流後脱血.Glutaraldehydeで灌流固定した.毛細血管注用樹脂Mercoxを注入し血管鋳型標本を作製した.次いで凍結乾燥し資料を完成した.Platinum-palladium coatingを行い走査型電子顕微鏡(JESM820)にて観察した.まず下歯槽動脈から歯髄への分岐部における観察ではコントロール群に比較し血管内内径の減少が観察された.これに比較して終末細動脈部における観察ではより変化率が大きい傾向が見られた. これにより歯髄に分布する動脈の分岐部に認められたVascuar Sphincterとの関連性が示唆された.今後同様のモデルをひきつずき作製し光顕用組織標本による病理組織学的観察も行う予定である.
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