研究概要 |
実験準備.1.抗歯根抗体及び抗歯根抗体Fab断片の作製.すり潰した抜去歯牙歯根をアジュバントにしてラットに注射した。2週間後再度注射し、抗体価を計った後、血液を採取した。血清を遠心分離後、プロテインAカラムを使用しIgG分画を精製した。精製した抗歯根抗体をペプシンで消化し,ゲル濾過により抗歯根抗体Fab断片を得た。2.象牙より7×7mm象牙質切片を作製した。 実験.In vitroにおける破歯細胞の歯根面への接着阻害試験及び吸収阻害試験.象牙質切片上に出生直後のウイスター系ラットの大腿骨より骨髄細胞を採取しα-MEN培地で10^6の細胞を象牙質切片上に播いた。37℃,1時間保温した後、リン酸緩衝液で3回洗浄し、グルタルアルデヒドで固定した後、TRAP染色により破歯細胞の数を測定した。結果は全付着細胞数が2560個であったのに対し、TRAP陽性細胞数は182個であった。 さらに1週間培養して吸収窩の数を測定したところ、52個の吸収窩がみられた。象牙質を抗歯根抗体及び抗歯根抗体Fab断片で前処理したものと処理しなかったものを比較検討したところ、抗体の濃度依存的に接着細胞数と吸収窩数の減少がみられた。同時に破歯細胞の分化誘導に関して有力視されているサイトカイン(IL-6)の産生をELISA(Enzyme Linked Immunosorbent Assay)にて定量したところ、顕著な差異はみられなかった。 以上の結果から抗歯根抗体Fab断片は破歯細胞の接着阻害によって吸収を阻害することがわかった。
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