<実験材料及び方法> 1. 実験歯 ヒト新鮮抜去歯の唇頬舌側面に直径1.5mmの円形windowを4箇所作製し、2箇所には35%リン酸溶液にて40秒間エッチングを行い、他の2箇所には処理を施さずコントロールとした。 2. 再石灰化溶液 (1) Ten Cateら(1977)処方の再石灰化溶液 (2) 唾液糖タンパク(ムチン)添加人工唾液 (3) Ten Cateら処方の再石灰化溶液+唾液糖タンパク(ムチン) アクリル板に固定した実験歯を各再石灰化溶液の入った潅流系貯留槽に浸漬し、再石灰化実験を行った。 3. 再石灰化エナメル質の組成分析 エナメル質表層からエナメル象牙境に向かって約200μの深さまで、Ca、P、Na、Clの各元素についてX線マイクロアナライザーによる分析を行った。 これらの元素の分布状態から、健全エナメル質と再石灰化エナメル質の結晶構造について比較検討した。 4. 微小硬度計による硬度測定 エナメル質表層からエナメル象牙境に向かって約200μの深さまで硬度を測定し、健全エナメル質と再石灰化エナメル質の硬さについて比較検討した。 <結果> 健全エナメル質と再石灰化エナメル質のCa、P、Na、Clの分布状態には顕著な差は認められず、結晶構造の違いについてはさらなる研究が必要である。硬さについては有為な差は認められなかったものの健全エナメル質が再石灰化エナメル質よりも硬い傾向が認められた。
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