研究課題/領域番号 |
09771899
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荒井 孝義 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (80272483)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | α,β-不飽和カルボニル化合物 / 触媒的不斉エポキシ化反応 / 希土類元素 / ビナフトール |
研究概要 |
昨年度の研究によって、我々が開発したalkali metal free-1anthanoid-BINOL錯体がα,β-不飽和ケトンの触媒的不斉エポキシ化に極めて有用であること、並びに不斉リガンドとしてビナフトールの3位の修飾した3-Hydroxymethyl-BINOLを用いると、目的のエポキシ成績体の不斉収率を改善できることを見いだした。本年度は、本触媒反応の汎用性を中心に、シスエノンやジエノン等の基質への適用を検討した。これらの基質は、アキラルな酸化条件では容易に異性化や重合を起しやすく、ラセミ体の目的物を得ることも困難な反応系である。これに対し、我々の開発した触媒は、極めて緩和な条件下に反応が行えるため、目的の成績体を高い化学収率、不斉収率をもって得ることに成功した。また、本錯体は、粉末化して保存できることを明らかとし、8ヶ月以上に渡り、活性を維持することに成功した。このことは、本触媒の実用性を顕著に示すものである。更に、反応機構を詳細に検討し、BINOLを不斉リガンドに用いた反応には水分子が関与して進行し、水分子の存在が、安定でかつ高い選択性を与える触媒反応に不可欠であることを見いだした。3-Hydroxymethyl基は、この水分子に替る機能を担っているものと考えられ、実際3-Hydroxymethyl-BINOLを不斉リガンドに用いて錯体を調製した場合には、水の添加による影響は小さいものであった。本錯体の分子量を測定した結果、高度に会合した構造を有していることが明らかとなり、錯体構造を一義的に決定することはできないが、TOF-MSの測定と、先の水分子の寄与を基に、触媒反応の機構を提示することに成功した。
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