活性酸素やフリーラジカル生成は障害性と同時に生体防御適応機構において重要な役割も果たしており、定量的・速度論的知見は病態解析等に必須である。しかし、この種の知見はほとんど得られていない。そこで本研究ではニトロキシドスピンプローブをマウスあるいはラットに投与後、連続的に画像を取得し生体内部位での酸化ストレス惹起性に速度解析法の確立を目的とした。具体的には1)画像化の際のアーティファクトを抑制するアルゴリズム開発による画像先鋭化、2)磁場歪み・残留磁場等の補正による真のラジカル分布の取得、3)キャビティ内の感度分布補正等により高分解能かつ高速画像化を行った。低S/N比条件下でファントムを用い、測定条件の改善、新アルゴリズムによる高速画像化時の特性解析を行った。この結果、1枚のESR画像取得に要する時間は、約4分から2分へと短縮された。 この画像化システムを動物個体へ適用し、病態モデルのより精細な解析を試みた。アジュバント関節炎モデルの関節部のESR画像を連続的に取得した。この連続画像を用いて、関節部位の消失速度画像、即ち酸化ストレス亢進部位の検討を行ったところ、関節腔付近でラジカル反応が亢進していることが示唆された。本手法は低S/N比のin vivoラジカル反応の速度解析に適用可能であることが示唆された。
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