研究概要 |
ヘアピン型リボザイムは,2つのステムルーブdomainからなり(domain I,II),domain Iにおいて切断反応が起こる.昨年度において,申請者は3つめのdomain(domain I')をdomain IIの3'側に接続した新規ヘアピン型リボザイムを構築した.この3つのdomainよりなるリボザイムは,転写反応中にdomain I'において,自己切断(セルフトリミング)を起こし,3'側に付加するベクター由来の余分な配列を切り落とし,本来の2つのdomainよりなるリボザイムを生成しすることができた.さらにこの切り出されたリボザイムは,標的RNAを目的部位で切断することができた.また,このヘアピン型リボザイムは,標的RNAと2ヶ所で計14塩基対を組み切断するが,以前に申請者は,3ヶ所で計19塩基対を形成する新規ヘアピン型リボザイム(three-way ribozyme)を構築した.このthree-way ribozymeは,切断活性が高いため,細胞内における遺伝子発現制御に用いる場合に有用であると考えられた.そこで,自己切断活性を有する3つのdomainよりなるリボザイムが,転写中の自己切断によって,three-way ribozymeを切り出すように,3つのdomainよりなるリボザイムを変換した.このthree domain ribozymeは,DNAからの転写に続く自己切断によって,three-way ribozymeを切り出すことができた.この切り出されたthree-way ribozymeは,ヒト誘導型一酸化窒素合成酵素のmRNAを切断することができた.今回構築したリボザイムは,ベクター由来の配列を自己切断によって切り落とし,活性の高いthree-way ribozymeを放出するものであり,今後リボザイムを応用するにあたり非常に有用であると考える.
|