研究概要 |
心臓洞房結節ペースメーカー電位発生頻度の細胞内Ca^<2+>による制御機構を、ウサギ単離洞房結節細胞およびモルモット心室筋細胞を用いて検討した。特にペースメーカー電位に関わると考えられている過分極活性型I_fチャネルおよびL型Ca^<2+>チャネルの制御に注目して検討した。[1]ペースメーカー電位の発生頻度は細胞内Ca^<2+>キレート剤BAPTA-AMにより50%以下に著明に減少し、緩徐脱分極相の減少と再分極相の遅延および活動電位ピークの上昇が観察された。逆に細胞外Ca^<2+>濃度を高くすると(2→5-10mM)緩徐脱分極相の上昇が観察された。そこで、緩徐脱分極相を形成するI_fチャネルの細胞内Ca^<2+>による制御の可能性を検討した。Perforated patch-clamp法により測定したI_fチャネル電流をBAPTA-AMやカルモジュリン阻害剤が抑制した。さらに、I_fチャネル電流は細胞内に高濃度Ca^<2+>(10^<-6>M)を潅流適用することにより増大し、カルモジュリン依存性燐酸化酵素(CaMKII)に対する阻害ペプチドを適用することにより減少した。以上の結果からI_fチャネルがCa^<2+>-カルモジュリン依存性燐酸化酵素を介して活性化されることを明らかにした(Biophysical Journal(1999)76,No.1,A347、論文投稿中)。[2]心筋L型Ca^<2+>チャネルの電位依存性およびCa^<2+>依存性不活性化機構が細胞骨格系蛋白(アクチンフィラメント)を介して制御されていることを明らかにした。アクチンフィラメントの脱重合によりCa^<2+>チャネル電流の電位依存性不活性化およびrun-downが泥進され、さらに細胞内Ca^<2+>濃度上昇による不活性化が促進された(Biophysical Journal(1999)76,No.1,A347、第72回日本薬理学会発表予定、論文投稿中)。現在、細胞骨格系と相互作用するCa^<2+>チャネルの機能ドメインを同定中である。
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