研究課題/領域番号 |
09771997
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
樋口 敏幸 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (50264289)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 癌 / 浸潤 / 転移 / トロンボモジュリン / 細胞線溶 / ウロキナーゼ(uPA) / 組織線溶 / ウロキナーゼ |
研究概要 |
トロンボモジュリン(TM)は従来血液凝固抑制因子として知られていたが、最近、線溶系の抑制作用も有することが明らかにされた。それゆえTMは癌細胞周囲の細胞線溶の抑制を介して浸潤抑制に関与することが期待される。昨年度、私は3種の膵癌細胞におけるTMの発現量と浸潤能との間に逆相関が認められること、およびTM非発現癌細胞にTMを外から添加するとその浸潤能が有意に抑制されることを見い出した。本年度は、TMの癌細胞浸潤能に対する抑制作用の機序をより明確にするためにさらに検討を加えた。 I. 膵癌細胞に発現するTMの浸潤能抑制作用 1. TM高発現膵癌細胞(BxPC-3)の浸潤能は、抗TM抗体存在下において有意に上昇した。 2. BxPC-3をレチノイン酸で処理すると、TM発現量は有意に増加し、その浸潤能はTM発現量の増加にともなって低下した。またその浸潤能低下は抗TM抗体を添加することにより阻害された。 II. TM非発現癌細胞の浸潤能に対するTM(外から添加)の抑制作用 1. 細胞線溶能が高くTM非発現であるヒト線維肉種(HT1080)の培養上清中のプロウロキナーゼ(pro-uPA)量は、トロンビン存在下においてTMの濃度に依存して著しく低下した。この作用は、トロンビンによるpro-uPAの失活化をTMが補助因子として促進することによるものであることが明らかとなった。 2. HT1080の浸潤能は、1.の結果を反映して低濃度のトロンビン存在下においてTMの濃度に依存して有意に抑制された。 以上より、癌細胞表面に発現するTMは癌細胞の浸潤に対して抑制的に働いていること、およびTMはトロンピンと協同して細胞線溶能を低下させ、癌の浸潤能を抑制することが明らかとなった。
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