研究課題/領域番号 |
09772007
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
北村 佳久 京都薬科大学, 薬学部・病態生理学, 助教授 (60195295)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ミクログリア / アストロサイト / アルツハイマー病 / アポトーシス / 一酸化窒素合成酵素 / ヘムオキシゲナーゼ / 脳虚血 / カイニン酸 / 転写因子 / NF-κB / STAT1 / p53蛋白質 / NO合成酵素(NOS) |
研究概要 |
アルツハイマー病は、著しい痴呆を伴う神経変性疾患である。昨年度は、免疫細胞の活性化および誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)誘導に重要な役割を果たしている転写因子NF-kBびSTAT1はアルツハイマー病脳で有意に増加していることを明らかにした。本年度は、プログラム細胞死の調節蛋白質の変動を検討した。アルツハイマー病脳では対照群と比較して、細胞死を促進するBakおよびBad蛋白質量が増加していた。また細胞死を抑制するBcl-2およびBcl-x蛋白質量も増加していた。アルツハイマー病など脳障害時には著しい酸化ストレスが発生することが知られている。アルツハイマー病脳では細胞死を回避するため代償的にBcl-2およびBcl-xの発現量が高まることが推定された。 脳障害時に異常に活性化したグリア細胞はiNOSを発現し、細胞死を引き起こすNOを大量に産生し、神経細胞死を引き起こす。しかしながら、グリア細胞はほとんど死に至らない。私は、強力な生体内抗酸化物質ビリベルジンを産生するヘムオキシゲナーゼに着目し、解析した。invitro培養グリア細胞およびinvivoラット海馬に細菌内毒素LPSおよびインターフェロンγ処置するとiNOS発現・NO産生が起こるが、その後、誘導型ヘムオキシゲナーゼ(HO-1)が発現されることが明かとなった。また、ラット海馬はカイニン酸処置によりCA3の神経細胞死が引き起こされるが、この時もグリア細胞は細胞死を引き起こすことなく、逆に細胞増殖し(グリオーシス)、HO-1を過剰に発現した。一方、神経細胞にはHO-1の発現は認められなかった。以上のことから脳障害時に、ミクログリアおよびアストロサイトなどグリア細胞はHO-1を発現するため酸化ストレスに対して耐性を獲得し、細胞死を回避することが推定された。
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