研究課題/領域番号 |
09772008
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
高橋 悟 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (20268098)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 胃粘膜上皮細胞 / 細胞保護 / グルタチオン / ヘムオキシゲナーゼ / 抗酸化作用 / 酸化ストレス |
研究概要 |
著者は抗潰瘍薬レミノプラゾール(LMP)が胃上皮細胞に4種の蛋白質を誘導合成させることにより、細胞を傷害耐性状態にすることを見出した。そこで、これらの蛋白質の単離を2次元電気泳動により試みたが、成功しなかった。一方、インドメタシンによる胃上皮細胞傷害の発生過程において、細胞内還元型グルタチオン(GSH)含量の低下がみられるが、LMPを前処理しておくとGSH含量の低下が抑制されることが判明した。近年、ヘムオキシゲナーゼは抗酸化物質の産生を触媒することなどから、炎症の終結因子のひとつとして注目されているが、誘導型のヘムオキシゲナーゼ(HO-1)は分子量32Kである。LMPにより誘導される蛋白質のひとつであるp35は誘導合成される点や分子量がHO-1に類似していることや、上述したようにLMP処理細胞では酸化抑制機構が働いた点を考慮すると、p35がHO-1である可能性が推察された。そこで、p35とHO-1との異同について検討した。胃上皮細胞のHO活性を測定したところ、通常は活性が非常に低値であったが、LMP前処理細胞では有意にHO活性が増加した。蛋白質合成阻害薬シクロへキシミドやmRNA合成阻害薬アクチノマイシンDはLMPによるp35の合成を阻害するが、同時にLMPによるGSH含量低下抑制に対して阻害効果を示した。さらにこれらの薬物はHO活性の発現を強く阻害した。そこでさらに抗HO抗体によるウエスタンブロットを行ったところ、無処理細胞ではHO-1は検出されなかったが、LMPによりHO-1の発現の誘導が認められた。一方、HO-2はLMPの処理に関係なく発現がみられたが、そのレベルに変化はなかった。以上の結果から、LMPは胃上皮細胞にHO-1の発現を誘導し、その抗酸化作用が細胞保護作用に奇与することが強く示唆された。
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