研究課題/領域番号 |
09772015
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
榎本 秀一 理化学研究所, RIビームファクトリー計画推進室, 研究協力員(研究職) (10271553)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | マルチトレーサー / 向骨元素 / 肝疾患 / アルコール性肝障害 / 肝癌 / 希土類元素 / セレン欠乏 / 微量元素間相互作用 / マルチトレーサー法 / リングサイクロトロン / LECラット / 核破さい反応 |
研究概要 |
本今年度は、肝疾患モデル動物(肝臓癌(LECラット)、急性アルコール症)、担癌動物など疾病モデル動物における生体微量元素のダイナミクスについて代謝生理学的研究を行った。また、微量元素の体内における初期受容過程に関与する血漿蛋白質ならびに血球成分との相互作用、金属蛋白質であるメタロチオネインと各種元素との相互作用を検討した。 ここのうち特に興味深い結果は、肝臓障害と微量元素の蓄積性に関するものである。肝臓障害は、飽食の時代と言われる現在、慢性的な疾患として問題視され、肝臓癌、肝硬変に至る様々な局面からの研究がなされている。本年度の研究では、肝障害を惹起した動物の肝臓において、Bone seekerの元素が、肝臓障害を惹起した肝臓に蓄積した。この結果は、先に報告した我々の糖尿病動物を使った研究結果と類似していた。すなわち、肝臓障害を起こしている肝臓は、多くの脂肪顆粒と組織の繊維化が観察され、繊維化した組織部分へのBone seekerの蓄積が見られた。これは繊維化した細胞にTransferrin receptorが大量に発現し、この繊維細胞に、希土類元素のようなBone seekerとtrarnsferrinのコンプレックスが取り込まれるためと考えられた。 さらに、肝障害と密接な関係を有しているセレンは現在最も注目されている生体微量元素の一つであるが、このセレンの欠乏状態にあるラットにマルチトレーサーを投与し、そのダイナミクスを観察したとごろ、ヒ素、鉄、スカンジウムの挙動に正常と大きく異なる結果を得た。すなわち、セレン欠乏症のラットはヒ素の肝臓蓄積が時間依存的に上昇し、また、鉄、スカンジウムの骨および肝臓蓄積が上昇した。セレンとこれら元素との生体内相互作用の報告は、ほとんどなく、現在この原因究明に生化学的アプローチを行っている。
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