研究概要 |
ラット大脳皮質スライス標本において人工的に誘発したepileptiform活性に対する新規代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)アゴニストF2CCG-Iの作用を検討した。Group I,II,IIIのすべてのmGluRを活性化する作用を有するF2CCG-I(1-10 μM)は、単独ではepileptiformの発生頻度をわずかに減少させるのみであった。しかしながら、本来作用を示さないアミノピメリン酸(30 μM)と併用するとF2CCG-Iの抑制作用は顕著に増強された。また、F2CCG-I洗浄後においてもアミノピメリン酸は単独で抑制作用を示すようになった(priming effects)。epileptiformの発生頻度を減少させる作用は、Group II mGluRの活性化において顕著に観察された。逆にGroup ImGluRの活性化は頻度を増大させ、Group III mGluR活性化による抑制作用は弱いものであった。priming effectsは、各種検討したアゴニストの中でF2CCG-Iにおいて最も強く観察され、DCG-IVなどでは観察されなかった。F2CCG-I投与後に見られるアミノピメリン酸単独での抑制作用も、Group II mGluRアンタゴニスト(MCCG)で抑制された。以上の事は、F2CCG-Iがどこかに取り込まれアミノピメリン酸により再遊離される可能性を支持しているが、情報伝達系における変化を否定するものでもない。さらに生化学的手法を用いてラット大脳シナプトソームへのナトリウム依存性取り込みについても検討したが、この機構を介してF2CCG-Iが取り込まれている可能性は低いことが示唆された。カルシウム依存性の機構についても検討が必要である。組織内へのF2CCG-I取り込み量を測定するため、HPLCを用いたアミノ酸の定量を開始した。
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