研究概要 |
マウスIL-10mRNAに相補的な配列を有するアンチセンスDNA(AS-D-oligo,AS-S-oligo)の表皮抗原提示細胞への送達性の向上に関する基礎的検討として,ヘアレスマウスの背部皮膚を用いてAS-oligoの皮膚透過性におよぼすイオントフォレーシス(IP)法の影響をinvitroおよびinvivoにおいて検討した.また,IP法はその電気的パターンの違いにより,直流(DC)型,交流型などに分類されるが,本研究では皮膚刺激性が低いパルス脱分極(PDP)型を用いた. Invitro実験:AS-S-oligo単独では全く皮膚に浸透しないのに対して,IPを適用した場合,その電流強度およびAS-oligo添加濃度の増加に従い皮膚浸透性は増大し,0.3mA,6時間通電後の累積皮膚浸透率は約60%を示したまたこのPDP型皮膚透過促進効果はDC型に比べて大きく,PDP型IP法の優れた効果が明らかとなった.しかし,皮膚中においてintactなAS-D-oligoはほとんど認められず,DNaseによる分解が示唆されたが,AS-S-oligoは比較的安定であった. Invivo実験:invitroの結果をよく反映して,IPを適用した場合,その電流強度およびAS-Oligo添加濃度の増加に従い皮膚浸透性は増大した.また,皮膚中にintactなAS-S-Oligoが確認された.また,最近行った予備的検討において,アトピー性皮膚炎モデルマウスNC/Ngaマウスの皮膚中に過剰発現しているIL-10mRNAレベルはAS-S-oligoをIP法で浸透させることにより,顕著に低下させ,AS-S-oligoのアンチセンス効果がinvivoで確認された. 以上の知見は,,AS-S-oligoの表皮抗原提示細胞中への効果的なデリバリー法としてPDP型IP法の有用性を示唆するものである.
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