研究課題/領域番号 |
09772044
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医療社会学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
宮地 尚子 近畿大学, 医学部, 講師 (60261054)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 文化 / 医療倫理 / バイオエシックス / 医療人類学 / 文化相対主義 / 人権 / インフォームドコンセント / インフォームド・コンセント |
研究概要 |
1) 「文化」と「倫理」に関する議論の理論的整理 初年度にひきつづき、「文化」の概念の捉え方や、異文化の表象、文化相対主義をめぐる議論、倫理における「文化」の位置づけについて整理分析を行った。その結果、以下のようなことが明らかになった。 ・世界状況の大きな変化に伴い、文化の流動性、雑種性、イデオロギー性、文化内部における対立や矛盾の存在に注目した文化の概念が発達してきた。カルチュラル・スタディーズ、障害者学、ジエンダー学、クイア・スタディーズなどの提供する斬新な文化モデルは、固有の地域や言語、民族性など従来の文化概念ですくえない差異を視野に入れる事ができ、生命倫理においても有用と思われる。 ・西洋の人権概念への批判的やアジア・アフリカの多様な倫理観の提唱には、普遍主義か相対主義かといった対立から進み、最低限の共通の倫理基準の設定や、対話の重視、寛容性の尊重など柔軟な思考が芽生え、文化の動的な側面もとらえることが可能になっている。 2) 生命倫理の分野において「文化」が関わる具体的な問題の分析 文化の事実的側面と規範的側面の混同や、ステレオタイプ化された文化比較などの問題点につて資料収集・整理分析を行った。特に過去10年の日本の主要な生命倫理問題(脳死臓器移植問題・インフォームドコンセント等)の報告書について「文化」概念の用いられ方、文化に対するスタンスの取り方の分析を行い、第4回国際生命倫理会議で発表を行った。また、多文化間精神医学における「文化」の捉え方とその倫理的な意味について論考をまとめ、生命倫理学の分野と比較を行った。 3) 現状の問題点及び今後の方向性 文化を動的かつ複合的なものと捉えることと、そういったクレオールな文化をになう主体が文化を論じる主体となることが今後の国際的な方向性と考えられ、日本の医療倫理においても理解が深められる必要があると思われる。
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