研究課題/領域番号 |
09772059
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
保田 晶子 昭和大学, 薬学部, 助手 (30260079)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 血管新生 / 内皮細胞 / 好中球 / 細胞接着 / 過酸化水素 / 転写因子 / Ets-1 / 増殖 / 遊走 |
研究概要 |
炎症病態下では、新生血管は炎症部位に炎症性細胞を輸送する他、炎症組織に栄養や酸素を供給するなどの炎症状態のメンテナンスに関与している。また、新生血管周辺には好中球などの炎症性細胞の浸潤が見られることが報告されているが、好中球による血管新生の制御は明らかではない。そこで、好中球による血管新生への影響を、ウシ血管内皮細胞の3次元培養法を用いたin vitro血管新生モデルにおいて検討した。内皮細胞障害を引き起こさない程度の好中球の内皮細胞への添加は血管新生を誘導し、好中球特異的活性化因子のN-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanineは好中球の血管新生誘導をさらに促進した。また、好中球と内皮細胞間接着に関与する細胞接着分子E-セレクチンとintracellular adhesion molecule-1抗体が血管新生を阻害したことから、好中球誘導性血管新生に細胞接着分子の関与が考えられた。さらに、活性化好中球誘導性血管新生はカタラーゼによって抑制された。このことから好中球接着による血管新生に過酸化水素による制御も考えられた。最近、炎症性細胞や内皮細胞など様々な細胞が比較的低濃度の過酸化水素を産生し、過酸化水素が転写因子発現に関与していることが示唆されている。我々も、過酸化水素が内皮細胞の遊走および増殖を促進し、結果として血管新生の伸長を刺激し、さらに、血管新生過程の最初のステップである基底膜の消化に関与するプロテアーゼ活性を制御する転写囚子ets-1が過酸化水素による血管新生に関与していることを明らかにした。これらのことが、活性化好中球から遊離した過酸化水素がets-1のような転写因子発現促進を介して血管新生を促進している可能性が示唆された。
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