研究概要 |
リズミカルな運動時における筋機械受容器反射の循環調節への影響を調べることを目的として以下の実験を行った。 実験1:ダイナミックな運動時の筋収縮に連動した圧刺激が循環反応に及ぼす影響(被験者14名)。 実験2:ダイナミックな運動時に圧負荷をかけるタイミングが循環動態に及ぼす影響(被験者7名)。 実験において、両足の大腿部分と下腿部分に装着した約17センチ幅のカフでもって、筋肉へリズミカルな圧刺激を負荷した。自転車運動時における大腿筋収縮時に同期して圧力を負荷するために、ペダル付近に光電センサーを取り付けて、その出力を上記急速圧負荷器具へ接続し、大腿直筋が収縮し始めてから一定期間圧力を負荷した。実験1において、自転車運動時に、大腿筋の収縮時に同期して圧力を350msec間負荷した場合、負荷する圧力が100mmHg以上では、平均血圧がわずかに増加することが明らかとなった。したがって、漸増運動負荷時に、運動強度増加にともなう筋内圧の増加による筋機械受容器反射が、運動時動脈血圧上昇するメカニズムの1つとして機能していることが示唆された。実験2においては、自転車運動中に圧負荷(300msec,150mmHg)をかけるタイミングを1)筋収縮開始時点、2)筋収縮開始から300msec、3)筋収縮から600msecと変えた場合における循環動態の変化を測定した。60回/分での自転車運動の場合には、各大腿筋の筋収縮のインターバルは1000msecになり、一回の筋収縮期間は約300msecであった。圧負荷時の血圧反応には、上記のタイミング間で差は見られなかった。このことから、運動時における活動筋への圧負荷による血圧反応は、その負荷するタイミングには影響されないことが示唆された。
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